何をやったかではなく
何のためにそれをやったかである。
今それが大切に思えてきている。

これは、高倉健の名言として知られている言葉です。出典まで触れた記事は少ないようですが、90年代後半に放送されたラジオ番組「旅の途中で」の中で健さん自身が語ったもので、絶版になっているこの本の中にその言葉が残されています。

大切なのは
どうなりたいか
よりも
どうありたいか

世間にどう思われる自分になりたいか
ではなく

誰のために
何のために
どうありたいのか

当たり前のようなことですが、自分も最近ずっとそんなことを考え、省みることも多いです。

ちなみに、健さんの名言ということで紹介されているこの言葉ですが、実は「(大切なのは)何をやったかではなく 何のためにそれをやったか」という部分は、ある日本映画の中の台詞です。
言葉をよく読むと、誰かが言ったことに対して、そう思うと言っているもので、健さんは当時おそらく、この言葉の出典に誰かが気付くと思って話したのだと思うのですが、今までこのことに触れた記事を見かけたことはありません。
この台詞が出てくる映画の原作者は、山本周五郎です。しかし、原作を読んでもその台詞はなく、脚本を書いた監督が、思いついた言葉だと思います。
けれど、それは、名を残すこともなく生きた人々の美しさを描き続けた山本周五郎の人生観が凝縮されたような台詞であり、晩年の健さんの作品のテーマを一言に現したような台詞でもあるように感じます。
長くなりましたので、その映画のことは、いつかまた書きたいと思います。