いい音はなつかしい。どこかで聴いたことがあるような気がする。それは絵でも文章でもそうだ。ステキな人に出会ったときもそうだ。しかしどこかで聴いたのではない。どこかで見たのでも、触れたのでもない。かつてどこかで会ったのでもない。
会いたかった人なのだ。求めていたものなのだ。表したかったものなのだ。ずうっと心の中にしまってあったものなのだ。

「たましいの場所」早川義夫

今日たまたま手にした早川義夫のエッセイを読んで、「そうだ、そうだよなぁ」と何度もうなずいてしまった。

早川義夫『たましいの場所』 ちくま文庫